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RA619Hを知る

F1世界選手権が始まった1950年以降、F1マシンの動力源は内燃機関、つまり一般の自動車と同じように燃料を用いて動力を生み出す“エンジン”を用いていました。しかし、石油をはじめとする化石燃料の枯渇や環境への影響といった問題が叫ばれるようになり、F1も2014年にレギュレーションを変更。従来の”エンジン”にあたる内燃機関(ICE)に、エネルギー回生システム(ERS)を併用したハイブリッドシステム「パワーユニット(PU)」が導入されました。ハイパワーと高効率を両立したこのPUが、現代F1マシンの心臓部を司っています。

最先端のハイブリッドシステムでは、ブレーキの運動エネルギーと排気の熱エネルギーを電力に回生。将来的には市販車への技術転用も期待されています。

PUの各部がどのような役割を果たしているのか、一つずつ見ていきましょう。

ICE(内燃機関)

ICEは従来で言う“エンジン”に当たります。現行のレギュレーションでは、排気量1.6L、6気筒のエンジンと定められており、V型バンクに3気筒ずつ配置されているため、V6エンジンと呼ばれます。使用される燃料は厳密に規定され、市販車向けにかなり近いものとなっています。

ターボチャージャー

ターボチャージャー(TC)は、エンジンの排気を利用してコンプレッサーを回転させ、エンジンへ送り込まれる空気を圧縮、増幅させています。燃料を燃やすには酸素が必須ですが、1レースの燃料消費量が110㎏に制限されたレギュレーションのもとでは、燃焼効率を増すためにより多くの酸素が必要です。このターボチャージャーは、1分間に10万回以上回転し、そうしたエンジンの“呼吸”を助けています。
また、ターボチャージャーと連結しているMGU-Hは、排気を熱エネルギーに変換するだけでなく、ターボの回転をサポートし、いわゆる“ターボラグ”の解消にも使われています。

MGU-K

「Motor Generator Unit, Kinetic」の頭文字をとったものです。Generatorは発電機、Kineticは運動学上という意味なので、直訳すると“モーター発電機ユニット - 運動エネルギー”となります。PUの中でも最も複雑な機構を持つコンポーネントの一つで、複数の役割があります。
時速350km以上から70kmまでの急減速を行うこともあるF1マシンのブレーキング。旧来のF1マシンはその強大な運動エネルギーを、カーボン製のブレーキパッドが真っ赤に光るほどの熱に変えて放出し、車体を減速させていました。約540℃に達するそのエネルギーをモーターに取り込み、電気エネルギーに変換してエナジーストア(ES)、つまりバッテリーに送るのがMGU-Kです。

MGU-Kは、ESに蓄えた電力で逆にモーターを駆動させ、最大で約160馬力のパワーを生み出す役目も担っています。また、この電力はターボを補助する目的でMGU-Hへも送られます。

MGU-H

「Motor Generator Unit, Heat」の略で、Heat=熱を回生するコンポーネントです。回転により発電する原理はMGU-Kと同じですが、こちらはエンジンの排気で発電を行い、そのエネルギーはESかMGU-Kへと送られます。
MGU-Hは、エネルギー回生(蓄電)だけでなく、出力も行っています。これは主にターボを補助するためのもので、アクセルを開けたときにコンプレッサーの回転スピードを向上させることで、ターボラグを抑えてパフォーマンスを最大化するのに役立ちます。

エナジーストア(ES)

エナジーストア(ES)は、MGU-K、MGU-Hで発生した電力を蓄えるバッテリーです。
ブレーキングや排気の熱によって生み出された電気エネルギーは、現代のF1マシンにとって不可欠な動力源です。これらの回生エネルギーをマシン内部に貯めておき、必要に応じてMGU-K内部のモーターを通じて駆動力を向上させます。ちなみに、ESからMGU-Kへのエネルギー転送量は、1ラップあたり4MJに制限されています。

コントロールエレクトロニクス

パワーユニットの制御を司る電子デバイス。1秒間に数百万回の処理を行います。レース中は常にドライバーが求めるタイミングで最適な出力となるように制御。エネルギーの出力、回生、発電量をコントロールします。